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「動物の整体」って何?

こんにちは
少しづつ日が短くなり、少し気温も下がってきましたが、まだまだ残暑が厳しいですね。

今回は、最近増えてきた
「動物の整体」についてです。

そもそも整体とは…
Wikipediaによると、日本語における「整体」は、手技を用いた民間療法、代替医療を指す だそうです。
手を使用した施術によって、筋肉や骨の状態を整える技術のことを整体と言います。

私自身も、人間の整体は良く利用するのですが、厳密に言うと、資格など細かく分かれており、
資格によって行えることが異なります。
ただ、「整体」は誰でも名乗れるものなので、
特別な免許や資格などを持たず、実施しているところもあります。
(整骨院や整体院は国家資格を持った方が行なっています)

動物の方はと言うと…
近年「動物整体」の名前を聞く機会が増えたように思います。
SNSなどに投稿している方も多いので、
実際におうちの子のケアに生かしている方や、
施設に通って施術してもらっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実際の手技などについて詳しく知っているわけではないのですが、
決して悪いものではないけれど、受ける前に知っておいて欲しいな と思う点があります。

①整体師の知識や経歴についてはしっかりと確認をした上で受けて欲しい。

人間の方もそうですが、動物の整体を名乗るのに特別な資格が必要ないのが現状です。
もちろん、みなさんおうちの子以外に実施されている方はそれなりに勉強をされている方々です。
獣医師が実施しているところもあれば、一般の方が民間の認定で実施しているところもあります。
個人的には獣医師が実施しているところをお勧めします。
と言うのも、民間の認定では「疾患」との関連の部分がどうしても不足してしまっていることが多いからです。
健康な子、少し姿勢が崩れている子であれば問題にはならないのですが、
中には疾患が隠れていることがあります。

そこを理解せずに施術を行うことにはリスクがあります。

例えば、「腰が曲がっている」子がいたとして、
・姿勢の崩れからきているもの(いわゆる猫背)
・椎間板ヘルニア
・変形性脊椎症
・脊椎炎
・循環障害
・内臓疾患       などなど、
原因はいろいろ考えられるのです。

罹患していて、ひどい痛みを伴っている場合はわかるのですが、そうでもないケースもあります。
その際に、施術を行うことで悪化してしまったり、痛みを与えてしまったりするケースがあったり、
抱えている持病(筋骨格系以外の疾患を含む)によっては、注意しないといけないことがあったりします。
獣医師でなければそのあたりの判断は難しいです。
SNSなどに投稿されているものを見ていても、
「こんな姿勢の子にはこうすると良いですよ」
「こんな症状の時はここの筋肉を緩めましょう」
といったものがほとんどで、
疾患の可能性や、注意点に触れているものはとても少ないです。

人の鍼灸師や柔道整復師などが行なっている場合もあります。
一般の方よりも様々な知識は持っていますが、
やはり人と動物では違う点が多々ありますので、
獣医師が行なっている(関わっている)ところが最も安全だと思います。

(因みに…
先日、獣医師の諸先輩方とお会いする機会があったのですが、
その際に、
「犬の整体」として、人の整体のように首を「ゴキッ」と鳴らしている動画がある
という話を聞きました。
その話を聞いていた獣医師は全員
「ダメですよね」「頚椎の不安定症などを抱えていたら命にも関わるよね…」
と全否定でした。)

獣医師ではない方が行なっている整体に行くことを否定するわけではありません。
施術を受けたい場合や自分で行う前には、
症状だけで判断するのではなく、
主治医に相談をしたり、
疾患から来ているものではないことを確認した上で、
(診察を受けて、除外診断をされているなど)
ご利用、実施する事を強くお勧めします。

②整体を受けるだけで終わらないでほしい。

整体により、骨格や筋肉の状態が整ったり、姿勢が改善します。
ただそれは、あくまで整っただけであり、それを維持していく事を行わないと
もったいないと思います。

私自身は、猫背なのですが、整体を受けると少し改善します。
でも、何もしなければすぐ戻ってしまいます。
もちろん、その度に施術をしてもらう… という方法もありますが、
根本的な解決にはなりません。
改善した状態を維持していけるように、姿勢を意識したり、筋力をつけたり する必要があります。

これは動物にとっても同じ事です。
せっかく整体で整えてもらったのならば、
それを維持していけるような動きや運動、をぜひ併用して欲しいです。
「意識して」と言ってもできるわけではないので、
飼い主の頑張りどころでもあります。
どのような運動をしたらよいのか…は
その子その子によって異なります。
必ず専門家に相談して行うようにしてください。

②獣医師以外が行なっている「整体」などでの、姿勢などの評価は「診断」ではない事を理解して欲しい。

よく勉強されている施術者のなかには、
「姿勢」「歩様」「関節の可動域」「筋肉量」「パテラのグレード」など
について評価をし、アドバイスをしてくれる方がいます。
例え間違った評価ではなかったとしても、「評価」「診断」は獣医師以外は行ってはいけません。
あくまでアドバイスの一つとして受け取るようにしてください。
(残念ながら獣医師がその知識がない場合もあるのですが…)

「動物の整体」や「動物のリハビリ」が少しづつ浸透してきていて、
飼い主さんの意識も高まってきています。
これ自体はとても喜ばしいことなのですが、
法律が追いついておらず、
双方共に特別な資格を持っていなくても名乗れるのが現状です。
そのため、施術者によって知識などに大きな差があります。

また、「治療」としての施術を行えるのは獣医師のみ(獣医師以外が行うのは違法)なのですが、
治療なのかそうでないのかの線引きが難しいところもあり、
施術内容がグレーゾーンとみなされる部分がまだまだ多いです。

せっかく「我が子のために」行なっている事だからこそ、
飼い主さんにはしっかりと「整体を受ける」事のデメリットや注意点も知ってもらった上で選択して欲しいと思います。
特に、グレードの低いパテラの様な軽度の疾患を抱えている子や、持病を抱えている子などは、
より慎重に選んだり、しっかりとかかりつけ医に相談の上で利用して欲しいと思います。

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